天国と地獄

もしも、日本での給料をそのままアジアの国々で受け取ることが出来れば、僕たちは、とても豊かな生活が可能です。広い一軒家に住まい、運転手やメイドを雇うことも不可能ではありません。何せ、給料の価値が、事実上、何倍にもなるのですから。天国です。

逆に、こうした国々で平均的な生活を送っている人が、日本で暮らそうとしたら、とんでもない物価の高さに、地獄のような生活苦に落とされるでしょう。日本なら、家賃が10万円というのは、少し高いけど、普通にありえる金額です。ただ、僕は、10万円の家賃を払っている人と現地で出会ったことはありません。ネパールやバングラデッシュでは、ありえないほど高価な住宅費です。

問題は、日本の大学の学費もまた、彼らにとっては、信じられないほど高価だということです。もちろん、エリートたちは国費の奨学金を獲得して、海を渡るでしょう。しかし、誰もが国費の奨学金を手に入れられるわけではありません。
アジアでの教育での交流を考えた時、こうした彼我の経済力の差は、深刻な障壁になっていきます。

僕なりの一つの結論は、アジアの貧しい国から日本に来て学べる人は、やはり恵まれた人であって、その数は限られているということと、もしも、僕らが本当に、アジアでの教育の向上を考えるのなら、彼らではなく僕ら自身が、海を渡らなければいけないだろうということです。

僕の今の夢の一つは、アジアの若者に最新のIT教育の機会を提供する、新しい大学を作ることです。